屋根は雨や風を防ぐためだけではない?

今回は家の屋根について設計目線のポイントを書いていきます。

屋根は建物や住まう人を雨や風から守ってくれたり、太陽の日差しを遮るために重要な部分です。
機能面以外にも屋根は建物にとって重要な役割を担っています。

それは屋根の形が家の印象を決める要素を持っているということです。
建物の外観を決める上で欠かせません。他にも小屋裏などに利用することで無駄なく空間を使うことも出来るので、屋根の設計というのはとても大切になります。

それでは屋根の役割や設計のポイントを一緒に考えていきましょう。

■屋根の役割とは?

家には当たり前のように設置されている屋根です。

もし屋根がなければ雨の日は毎回ずぶ濡れになってしまいます。
家の傘としての役割以外にも家の劣化を防いだり、地震の揺れをやわらげたり、火事のときに火災を防いだりと多岐にわたる要素があります。

もともと日本の住宅は木造が多いので水分や湿気によって木が腐朽・劣化しないように、雨から家を守ってくれていたり、軽い屋根材を使うことで家の重心が低くなり、その結果家の揺れを抑える効果があります。
なので地震による揺れの影響を受けにくくなります。

建物の多い街中では近隣で火災が発生した時にもらい火による火災の被害を抑える効果もあります。

■屋根の種類や特徴は?

それでは代表的な屋根をご紹介します。

●切妻屋根
家の屋根といっておそらく多くの方がイメージする三角形の屋根のことです。
シンプルな形で雨漏りにも強く、コストが安く抑えられます。

●寄棟屋根
寄棟屋根も切妻屋根同様によく利用される屋根です。
正面に1枚、背面に1枚、そして側面に2枚の屋根を重ねる形状です。
屋根の枚数が多くなるためコストは若干高くなりますが、雨や雪がたまりにくいという特徴があります。

●片流れ屋根
1方向にのみ傾斜がついた形状の屋根です。
デザインを重視した住宅にも採用され、スタイリッシュな見た目になります。
最近では利用する家も多くなってきました。
施工がしやすくコストも抑えられますが、雨や雪が1か所のみ落ちることになるので雨樋や雨水桝などで対策をしましょう。

●陸屋根
「りくやね」とも「ろくやね」とも言います。
簡単に言うと平らな屋根のことで、建築用語で「陸」(りく・ろく)は水平という意味を表しています

屋根を見せない外観でスタイリッシュに仕上げることができるので、デザインにこだわった家にも採用されています。
屋上にウッドデッキを敷き詰めてバーベキューをしたり、屋上緑化をすることもできます。

家の設計によって一概には言えませんが、他の屋根に比べて傾斜角度がつけにくいので雨が溜まりやすいので、経年劣化で水が溜まり、雨漏れやカビが発生するリスクがあります。

メンテナンスや修繕を10年程度のサイクルで行えば発生のリスクは低くなりますが、その分コストがかかります。

■屋根の上手な使い方

雨や風、台風といった外的環境から室内を守るということが一番の役割ですが、設計の仕方で様々な有効活用ができるのです。

①室内と外を繋げる中間領域の軒下を使う
軒とは、外壁よりも外側に出っ張って、突き出している部分のことです。
建物から突き出して雨や雪、日差しを遮って、建物を守る傘のような役割が軒です。

軒が出ていれば、雨に濡れる心配がないので、安心して洗濯物を干せますし、軒下にウッドデッキや縁側をつくって、天気のよい日にはひなたぼっこしたり、子供が遊んでるのを眺めたり。友人を呼んで休日にバーベキューした楽しむこともできます。

外と室内の中間として利用できるのが軒下です。

②屋上テラス・屋上緑化
地上にある庭とはまた違った魅力があるのが屋上です。
屋上に上がれば眺望を楽しんだり、アウトドア気分を味わったりできます。
例えばテントを張ればプチキャンプ気分を楽しめたり、夏は子ども用プールを用意すれば人目を気にせず水遊びができたりと様々な遊びが楽しめます。

屋上に上がるには当然階段が必要になってきます。
住まいの地域によっては、家の高さが制限されていたりするので確認が必要です。
建築コストが高くなるデメリットがあります。

③太陽光を設置する
太陽のエネルギーを電気に変えるので、何といっても電気代が節約できるのが大きなメリットです。電気代が高騰してるので家計負担を減らせて、電気があまったら売ることもできます。
災害時、もし停電しても蓄電池があれば電気が使えるので助かります。

当然設置のコストやメンテナンスが必要になるデメリットがあります。

④小屋裏をつくる
小屋裏とは屋根と天井の間にできるスペースのことです。
多くの方は物置や収納といった空間をイメージするのではないでしょうか。

小屋裏のルールとして
・天井高さを1.4m以下
・すぐ下の階の1/2以下の面積にする
など条件をクリアすれば、収納部屋以外にも子ども部屋や趣味の部屋といった活用が可能になります。

ちなみに天井を1.4m以上にする、1/2以上の面積にすることは可能ですが、3階部分とみなされてしまうので、構造計算が必要となり重量が重くなるため地盤改良が必要になった場合はコストが増えてしまいます。

和風住宅でよくみられる小屋組みの梁などの木をそのまま見せる活用方法もあります。
天井を高くしてあえて梁を見せるおしゃれなお家も多いですね。

自然環境から家や住む人を守る屋根ですが、外観の印象を変えたり、空間としての活用もたくさんできます。
皆さんも家のデザインや素敵な活用方法を楽しみながら考えてみてはどうでしょうか。

皆さんが住んでる地域ではどんな家の屋根が多いのか観察してみるのも面白いですよ。

それでは。

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